雄大でロマンティックな「恋ぬ舟」。
ボクネンさんからいただいたこの詞がとても好きだったので、おしゃれな曲をつけたくて、何度も試行錯誤しました。
この曲の誕生エピソードは、1999年の夏に遡ります。
ユニット名を「TINGARA」に決めて、ファーストアルバムの準備に勤しんでいた頃です。
以前、「夜間飛行」の誕生秘話の中でも書いた、あの釣りの夜。
自分たちのユニット名を早く覚えていただけるように、と、ヒデオさんが出したアイディアは、
TINGARA第一弾のオリジナル曲の詞の中に、「てぃんがーら」という言葉が登場する、
というものでした。
そんなわけであの釣りの日は、ボクネンさんにも、なるべく「てぃんがーら」という言葉を使ってください、とお願いしておりました。
その夜はよく晴れて、みごとな天の川が天に昇り、おかげでボクネンさんもイメージしやすかったのか、即興の歌の中にはいくつも「てぃんがーら」が登場する節がありました。
そして、その中に「恋ぬ舟」のひとつめの琉歌もありました。
沖縄には「天の川」を表す単語に、地域によって「てぃんがーら」「てぃんじゃら」と、
両方の発音があります。
この琉歌には「てぃんじゃら」のほうが語呂が良かったようですね。
後日、伊勢丹美術画廊での個展に来場されたボクネンさんに、
この琉歌についてお尋ねしたところ、
その場で「百合花や・・・」とふたつめの琉歌を詠んでくださいました。
そして今年、『風の旋律』への収録にあたって、出来上がったデモを
ボクネンさんにお送りして、3番めの琉歌を書いていただきました。
こうして時を経て完成した「恋ぬ舟」。
試行錯誤した甲斐あって、達成感のある仕上がりになりました。


COMMENTS (2)
TINGARAの曲には一度聴いただけで強い印象が残る曲と、何度も聴いているうちに心の中で輝きを増してくる曲があります。私にとってAlbum「風の旋律」の中では、前者は「さくら」であり、後者はこの「恋ぬ舟」でした。最初に聴いた時は「風の旋律」という作品の中の1曲として心地よく流れていく感じでした。それが何度も何度も聴いているうちに段々、印象が強くなっていきました。ボクネンさんが描いたのはきっと小さな舟だったと思うのですが、自分にとっては大学生の夏休みに乗船した、おがさわら丸での忘れられない想い出がダブりました。帰路は満天の星空が海に写りこむほど波のない状態で、滑るように進む船。大海原に聴こえる音は自分達の乗った船のエンジン音だけ…。その日は流星群のピークにあたり天の川の間を幾筋も流れゆく流星群。そこで大好きだった人と見上げた夜空。プティミュゼでのボクネンさんの展覧会に誘ってくれたのもこの人でした。
つぐみさんの優しい優しい声に誘われて大切な想い出が鮮やかに甦りました。間奏のサウンドは本当に船に揺られているような気持ちになります。と同時にこの美しい瞬間が永遠に終わって欲しくないと思う、当時の気持ちが重なって…。2番と3番の間奏はこのまま永遠に続いて欲しいと思わせるものでした。本当に美しい曲を聴かせていただいたと思っています。
Posted by: かわむつ | 2005年10月27日 18:17
日時: 2005年10月27日 18:17
かわむつさん、暖かい、胸がキュンとするような素敵なお話ですね。私にとって船旅はとてもロマンチックで、時に切なくて、とても鮮明な記憶となって残りますが、360度見渡す限り海、駆け抜ける風や風の運んでくる香り、満点の星・・・船の上でしか経験できない貴重な出会いですね。
先日つぐみさんから、琉歌はその場の気持ちや情景を歌うのだと伺ったのですが、ボクネンさんの豊かな感性から生まれる言葉(言霊)とつぐみさんの言葉に対する溢れる思いの結晶で TINGARA のサウンドとなって生み出されていく過程が心地よいメロディーのエッセンスなんですね。
Posted by: まんたれい | 2005年10月29日 13:39
日時: 2005年10月29日 13:39