この曲は「おもろ」に残された謡からの抜粋で詞を創りました。
「おもろ」には、想像を膨らませてくれる古代の美しい言葉がたくさん登場します。
この「おもろ ~明けもどろ~」は「おもろ ~神が世~」と対になる曲として、
対照的な描き方をしたい、と思いました。
情景は、朝。
鶏の鳴き声と共に目覚める、村落ののどかな朝陽。
歌モノ、というより、インストゥルメンタルの曲のような雰囲気で、
ハーモニーをふんだんに入れて、広がりのある音にしたいと思いました。
TINGARAの楽曲では、ウチナーグチを使った詞は琉球旋律を意識してメロディーを作るのが常なのですが、「おもろ」の2曲はむしろ、意識が逆でした。
この「おもろ」って何かというと、琉球列島に伝わる古代歌謡のことなんです。
沖縄版万葉集みたいなもの、というとわかりやすいでしょうか。
「思う」または「神に申し上げる」という意で、1554首の神歌が残っているのだそうです。
正式には「おもろさうし」といって、琉球の島々に伝わる神歌を16世紀頃に首里王府がまとめたものをさします。
現代では「おもろさうし」研究の権威である外間守善先生が訳をされて、上下巻として出版されていますが、実はこの「おもろ」も「さうし」という言葉も、大和的な表現なのだとか。
思うにあたる「ウムイ」を大和的に言ったのが「おもろ」、
そして冊子本を草子と称する風潮があった大和に習って「さうし」と付いたのだそうです。
そんなわけで「おもろさうし」は、民衆の間で伝わってきた「ウムイ」や「オタカベ」などの神歌を、王を讃美し、国の安泰を祈る宮廷歌謡として組み立てた歌集、ということになるわけですが、その元となる民衆の神歌を、私は先祖から受け継いで知っているわけではありません・・・
だからこそ、そこに残された言葉が美しく神秘的に感じられたのかもしれません。
どこからどこまでが沖縄か、古代か現代か、大和的か琉球的か、
できればそんなことは超越したい。
美しいと感じた詞に思いのままにメロディーとハーモニーをつけてみたい、と思いました。
元の詞は『おもろさうし 下巻』から。
「820 きゝみあぐむが節」と、「830 うちいではふいのとりの節」
という2つの謡から、部分的に抜粋して創ったもの。


COMMENTS (2)
日が昇る。朝靄が晴れ、祈りの声が漂い、色々な音が沸き立ち、人々の日常が動き出す…。旅先で眺める朝の光景を思い出します。旅に出ていない時は自分自身が慌しく、朝の空気を吸い込む余裕もないのですが、休日くらいはこの曲を聞きながら、ゆっくり過ごしたいものですね。
「おもろさうし」という琉球の古典歌集があるとは初めて知りました。そういえば大昔、国語の時間に文学史で名前だけは習ったような…探して、読んでみたいと思います。
Posted by: mikola | 2005年10月15日 01:50
日時: 2005年10月15日 01:50
mikolaさん
ご感想ありがとうございます。
「おもろさうし」は岩波文庫から、上下巻の文庫本が出ていますよ。
ボクネンさんの詞の世界を感じる言葉もたくさん登場します。
よかったらぜひ読んでみてくださいね。
Posted by: Tsugumi | 2005年10月18日 05:06
日時: 2005年10月18日 05:06